受賞の声


 富山市ファミリーパークでは、身近な動物の知識を地域の人に普及することを目的に、日本産動物の飼育展示に努めてきました。今回、受賞の対象となった「穴掘りアナグマ」も日本産動物の普及をささえる重要な展示です。それだけに今回の受賞はとても価値があり、ありがたく思っています。


アナグマの展示は昨年まで、単なるモート形式の展示でした。モート越しに観るアナグマは小さいため、アナグマが前脚や鼻を巧みに使い穴を掘る様子を近くで観察できるように考えたのが「穴掘りアナグマ」でした。


この展示を実現するのための十分な予算はなく、材料をかき集めて「あーでもない、こうでもない」といいながら、職員10人がかりで半月ほどかけてこの展示を製作しました。園内のU字溝を集めセメントで固定し、使い古しのアクリル板を持ち寄り、古いケージのネットを切り、一輪車で土を運び、ペンキを塗り…。それだけに、初めてアナグマが目の前で一生懸命に鼻と前脚を使って穴を掘り、エサを見つけ出しては食べる様子を見たときの感動は今も忘れられません。


来園者からの反応も上々で、今まで素通りされがちだったアナグマが一躍人気者となっています。動物園で動物の何をどのように見せるかを考え、実現のために努力することの重要性と楽しさを実感しております。また、展示方法は常に発展させられる可能性があり、日常の業務でその可能性をさぐっていきたいと思います。

富山市ファミリーパーク 動物課 飼育展示係
山内 洋