応募者のコメント

埼玉県こども動物自然公園

ナマケモノの屋外展示場

 最近、樹上で暮らすナマケモノの行動を見せる展示は、ノーマルなものとなって来ている。しかし、来園者との間に距離があったり、ナマケモノが一度木に登るとそのまま動かないこともあり、観察しにくい場合が少なくない。埼玉県こども動物公園のナマケモノ屋外展示場は、元々の展示場から来園者通路を挟んだ他種の展示場内にある木へとロープをめぐらすことで、ナマケモノの行動範囲を広げている。実際、ナマケモノは、その時々の日照や気温、採食条件(展示場内の木の葉や芽を食べていることもある)により、自在に頻繁に動いている。また、「さわらないでください」という注意書き看板があるように、来園者との距離も大変近い。飼育動物の行動範囲を広げ、気象条件や気分で自分の居場所を決めることができることは動物福祉にかなっており、また、そういった行動を間近で観察することにより来園者の動物への理解も深まると思われる。

揺れる枝とナマケモノ

 ロープを移動するナマケモノは、いろいろな動物園で見ることができます。この動物園では、そのロープの張り方を変えたり、ロープではなくて、天井からぶら下がる紐に枝を結んで、間の空いた枝と枝を設置しています。「繋がっているロープを移動するのは当たり前。自然界では、枝から枝に移動するハズだから、そんな場面を再現したい」とは、園長さんの言葉でした。限られた空間をいかに広く使うか、動物園の方は、いろいろと考えているものだと思いました。

斜めの木が入っているコアラ展示場

 埼玉県こども動物自然公園のコアラ展示場には、縦と横だけでなく斜めの木の枝もたくさん入っている。野生では真横への移動はほとんどないこと、縦や斜めに移動することでふんばる力がかかり筋肉が鍛えられることに着目したという。そして、これらのことを掲示すると共に、ハンズオン展示もおこなって実感してもらえるようになっている。この取り組みのおかげだかどうかはわからないが、埼玉のコアラは元気で長生き、ここ数年、順調に繁殖もしているようだ。

コアリクイの採餌

 埼玉県こども動物自然公園のコアリクイ展示場は木が2本あるだけでどうということもない施設だが、地面に朽木が置いてあり、そこにアリが集まって来ている。日中は樹上で昼寝をしていたコアリクイが、夕方になり木から下りてくる。コアリクイは、朽木に鋭い爪で穴を開け、穴の中に舌を入れてアリを舐め取る。朽木が破壊され、木の表面や地面を這っているアリが多数いるが、それらを食べることはあまりなく、朽木の中に舌を突っ込んでアリを食べることが多いようだ。このため長い舌を見ることはできないが、コアリクイにとっては自然な採食風景であり、夢中でアリを舐め取っている姿には感動を覚える。アリを集めるために飴玉を置くこともあるそうだが、それ以外には何もせず、ただ朽木を置くだけの経済的で手間のかからない取り組みであることも、好ましく思われた。

アリクイのために、蟻をおびきよせる

 コアリクイのために蟻をおびきよせているそうです。その方法は、小さなネットに飴を入れて、木に付けておくだけ。たしかに、木に蟻が来ていました。でも、コアリクイは、倒木を壊して遊ぶ方が好きなようです。この倒木は、広い園内の林から地面に転がっている「蟻や虫が入っていそうな」ものを飼育員さんが拾ってきて、与えているものです。倒木をコアリクイが爪で壊して、顔を近づけると、ドドッと蟻が出てきます。鼻息を吹きかけると蟻が驚いて、木の穴から出てくるようです。 「こんな場面がよく見られるようにしたい」というのが、飼育員さんの希望のようですが、昼寝が好きなコアリクイは、動いている姿をなかなかお客さんに見せてくれないのが泣き所だとか。どこの動物園でも出来そうな小さな工夫で、コアリクイはとても活発に動く時間が出来たようです。

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