応募者のコメント
推薦コメント その1
2008年4月1号吊り橋架橋
2009年4月2号吊り橋架橋
2010年は10月に架橋予定
1.2号の吊り橋プロジェクトには動物園のオランウータンのキーパーさん延べ4名が参加して居ます。吊り橋架橋から、苦節2年、この間小川直子さんというBCT会員さんが粘り強く監視カメラを開発、今年春1号2号吊り橋に4台を設置、この度1号橋に設置した監視カメラに吊り橋を渡るオランウータンの姿が見事にとらえられているではありませんか!
推薦コメント その2
ボルネオ保全トラストジャパンはボルネオ現地と連携し、「生物多様性保全のために、保護区と保護区を結び野生動物が生命をつなぐ「ボルネオ緑の回廊」をつくり、地元の人々が持続可能な資源活用やエコツアーなどをできるようにし、アジアの市民や子どもたちに環境教育を通じて生物多様性の重要性、持続可能な社会のあり方を伝えることで、人間と自然が共生できる持続可能な地球環境を次世代に引き継いでいくことを目的に」しています(括弧内はBCTJの公式サイトより引用。推薦者もBCTJ正会員)。主眼となる「ボルネオ緑の回廊」の形成のために、BCTJは現地組織「ボルネオ保全トラスト」が、アブラヤシ・プランテーション等のかたちで森林破壊に加担している土地を購入することを支援しています。
今回授賞対象として推薦する「吊り橋プロジェクト」は、火急の課題として河川によって分断され、存亡の危機にあるオランウータンの地域集団を「吊り橋」によって連絡し、個体の交流を図ることで、抜本的な解決策としての「ボルネオ緑の回廊」計画を補助・援護しようとするものです。2008/4、2009/4の2回・2地点でオランウータンの渡河を意図した吊り橋を架け、実状を監視するカメラ装置の作成と設営を行なってきました。結果、2010/7初旬にオランウータンが吊り橋を渡っている証拠写真が現地より送付されました。
このプロジェクトが貴大賞に値すると考えるのは、このプロジェクトに多くの動物園とそのスタッフが関与し、これら各園で積み重ねられてきた飼育等の実践の成果が、重要な役割を演じているからです。たとえば、2008年の架橋作業に参加した二人の飼育員・黒鳥氏と水品氏は、どちらもオランウータン担当であり(黒鳥氏については当時の多摩動物公園での担当者)、多摩動物公園のスカイウォークの設備、市川市動植物園でのリサイクル消防ホースを活用した運動具(※)などが吊り橋の具体的構想に対して貢献しています。つまり、域外保全としての日本の動物園の営みが、結果としてボルネオ現地での域内保全の実現に寄与し得たということです。しかも、実際の飼育施設が参照されたということは、それらの施設自体が「飼育下の野生動物に、生息地での本来の生活や身体特性に見合った環境を与えている」証明にほかならず、そこに環境エンリッチメントが効果的に実践されていることをも明示しています。その他、東山動植物園の木村氏・ズーラシアの宮川氏もまた、オランウータン飼育の実績を積み上げてきた方であり、東山動植物園は第2回架橋に先立っての実験の場も提供している。並木氏は多摩動物公園の「チンパンジー村」を主なフィールドとして動物園来園者のコミュニケーション分析でお茶の水女子大学より学位を取得、千葉市動物公園で長年、教育普及の業務に携わっており、氏の活動もまた、動物園を軸に野生・現地のフィールドから一般市民までがリンクしていく要となっています。
以上に列挙した各氏は、個人としても理事・会員等としてBCTJに関与しており、その意味ではBCTJ全体をこそ授賞対象にするべきですが、同時に上記のような理由から各氏が動物園スタッフとして日常的な営みを積み重ねていること・それを域内保全に活かすことを各氏の所属園が認可したことをも不可欠の評価点と考えるため、あえて各氏の名と所属園をも授賞対象リストに加えました。