ワークショップ in よこはま動物園
  じっくり見学ズーラシア
−来園者の視点、キーパーの視点−
 

2004年3月7日(日)@よこはま動物園ズーラシア 

 ワークショップは9:30によこはま動物園ズーラシアの正門に集合して始まりました。当日は少し肌寒かったですが、雨の心配もなく、日曜日でにぎわっているズーラシアで楽しくワークショップを開催することができました。

 集合写真を撮った後、管理棟の多目的ホールに移動しました。そこでオリエンテーションとして今回のワークショップの説明や自己紹介を行いました。参加者の中には関東圏以外からもいらしている方がいました。

 その後、ズーラシアのスタッフの栗原さんからズーラシアの歴史やコンセプトについての説明がありました。ズーラシアでは、博物館法の4つの柱である、レクリエーション・教育普及・調査研究・自然保護を基本として、動物の生息環境を再現した生態展示やその気候帯に即した植栽をし、絶滅の恐れのある動物の保護・繁殖に力を入れています。

 次に市民ZOOネットワークの赤見さんから、動物園の飼育展示の工夫についての講義がありました。動物園の展示施設には、動物がより快適に暮らせるように、来園者により多くのメッセージが伝わるように、様々な工夫がされています。今回のワークショップは、動物や展示施設をじっくり観察することで、動物園やキーパーさんが動物や来園者に対して行っている工夫や努力を探り、その意味について考えてみようというものです。

 そして最後に、今回観察するコモンウーリーモンキーとメガネグマを担当していらっしゃるキーパーの長倉さんより、彼らの写ったビデオを用いて、それぞれの動物の生態や個体の特徴、飼育展示の工夫などについての説明がありました。ウーリーモンキーは手のように使う尾を持ち樹上性が強い動物です。また、ロープを使うことを覚えなかったインディーくんや、まだ大きなものを掴むことができないウリちゃん、といったように個体差もあり、そういったものも含めてウーリーモンキーの行動を引き出せるようにロープを張るなど工夫がされているそうです。

 お昼は今年は管理棟の中の会議室でズーラシアの方も食べているお弁当をいただきました。そして午後からは放飼場に移動し、実際に動物や展示施設を観察しました。昨年のワークショップでは、全員がウーリーモンキーとメガネグマの両方を観察しましたが、時間が足りなく十分観察できなかったそうです。そのため、今年はくじ引きをして、ウーリー班とメガネグマ班に分かれて観察することになりました。

 参加者はテキストを参考にしながら、ワークシートに、後から飼育展示施設に設置されたものや改修した箇所を見つけてスケッチしたり、動物の行動を観察してその様子を書き込んだりしました。ウーリーモンキー舎は一目見ただけで複雑にロープが張り巡らされていることがわかりました。メモのようなスケッチではなにがなんだかわからないような感じで、それだけ複雑な三次元空間が演出されており、キーパーさんの努力がうかがえました。ウーリーモンキーはこのロープや偽木を四肢や尾を上手に使って移動したり、中央にあるヒーターで温まったりしていました。また、ガラス越しに間近まで近づいてくれるウーリーモンキーをよく観察することができ、尾紋も見ることができました。

 観察時間の1時間は、作業をしながらじっくり観察しているとあっという間に過ぎてしまいました。その後、アマゾンセンターで各班ごとにみんなのスケッチを一枚の大きな模造紙にまとめ、発表し合いました。今回は片方だけしか観察していないので、参加者の人たちは相手の発表を聞いて、もう一方の動物を見に行きたくなったのではないでしょうか。

 今回初めてワークショップに参加しました。また、このようにじっくりと観察するのも初めてでした。動物をよく観察することで、その形態的な感想にとどまらず様々な点に注目することができます。私が印象に残ったのはウーリーモンキーの尾の使い方でした。オマキザルの仲間が尾を使うのは知っていましたが、その使い方は実際にみてみないとわからないと思います。このようなところに注目することができるのは、キーパーさんの様々な工夫や努力があってできることです。今後も他の動物や動物園からいろいろなメッセージを受け取ってみたいと思いました。今回のワークショップでお世話になったズーラシアのスタッフの方々、どうもありがとうございました。

堀 泰洋 [市民ZOOネットワーク サポーター]



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