市民ZOOネットワーク 11月セミナー

戦争と動物園 〜「ぞうれっしゃがやってきた」著者に聞く〜
ゲスト:小出 隆司 さん

2005年11月12日(土)@あいちNPO交流プラザ

 

11月のセミナーが、名古屋のあいちNPO交流プラザで開催されました。 セミナーのテーマは戦争と動物園です。「ぞうれっしゃがやってきた」(岩崎書店)の著者、小出隆司さんにお話を伺いました。会場は多くの地元の方々、東京からの遠征組も含めて大盛況。小出さんの熱弁に聞き入りました。セミナーは、「ぞうれっしゃがやってきた」をお書きになるに至った背景、ご本人による朗読。「ぞうれっしゃよはしれ」(合唱組曲「そうれっしゃがやってきた」より)などを作曲された藤村記一郎さんのギター伴奏付きでの数曲の合唱など多岐に渡り、時間が短く感じられました。

まず、「ぞうれっしゃがやってきた」の概要と朗読。ドラマ「象列車がやってきた」としてNHKのTV番組で放送されたのでご存じの方も多いと思います。戦争中、動物園の猛獣に処分命令が出される中、東山動物園で生き延びた2頭の象マカニーとエルドに会うために、戦後、全国から象に会ったことがない子ども達が国鉄の仕立てた列車に乗ってやって来たという実話に基づいて書かれた絵本です。作者自らの朗読で受講者は悲しんだり最後は喜んだり、当時を思い出したりと人それぞれの感慨に浸ったと思います。

そして、徐々に絵本の誕生の話に入って行きます。1975年、戦後30年が経過してもまだ絵本が学校の図書館に少ない時代に小学校の先生をされていた時、やっと見つけた絵本「かわいそうなぞう」(つちやゆきお著 金の星社)の読み聞かせをしました。するといつもは元気な児童達が悲しい感情でいっぱいになったために、地元名古屋の東山動物園では2頭の象が守り抜かれたと話すと表情が一変、話の詳細を聞きたがったことから小出先生の調査が始まりました。

その調査の過程で知った、自分で担当動物を殺さなければならなかった上野動物園の飼育員さん達の悲劇。東山動物園の当時の北王英一園長、職員さん達の動物達に対する愛情と必死の努力。そして配給をなくされた象の餌を密かに提供した軍の獣医さんの援助など、歴史を掘り下げた興味深い話でいっぱいでした。戦後、象がいなくなった上野動物園がある台東区の子ども達の「象を借りたい」との陳情に対し、健康状態、高齢などで無理だと園長が断ったところ、それならこちらから会いに行こうと象列車を走らせる経緯に至り、初めて象と対面した子ども達の喜ぶ表情まで思い浮かべることが出来る楽しい話で終わったと思ったら、最後にサプライズがありました。合唱組曲「ぞうれっしゃがやってきた」の作曲者 藤村記一郎さんの伴奏、歌(愛知子どもの幸せと平和を願う合唱団の山口直子さんとご一緒)に小出さんの台詞もはいり、「ぞうれっしゃ」ミニミュージカルのよう。  

最後は、セミナー参加者全員と「ぞうれっしゃよはしれ」の大合唱で大団円。北王園長をはじめ当時の動物園関係者の皆様が、守り抜けなかった動物達のために、まだ心に痛みを持続されていることを知った話は、戦争の理不尽さを強く感じました。戦後60年を経過して未来に平和を維持するためにもますます語り継がれることの意義が大きくなる、と感じる2時間を過ごすことが出来ました。

(市民ZOOサポーター 大木正美)

 

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