市民ZOOネットワーク 開催報告

「2013年度 サポーター発表会」

2013年4月6日(土) 文京シビックセンター(文京シビックホール)3階 会議室1

 

「春の嵐」が近づく不安な天候の中、2013年度サポーター発表会が文京シビックセンターの会議室で開催されました。今年の発表者は3名。参加者も積極的にメモをとったり、質問をするなど活発であり、お茶やお菓子をいただきながらの楽しい会でもありました。

 

1. 三好健太郎さん〜「ZOONEWS BLOG」を運営して〜
一人目の発表者は三好健太郎(ぜのぱす)さん。動物園・水族館のニュースを紹介するサイト「ZOONEWS BLOG」を5年以上続けていらっしゃいます。三好さんがインターネット上で最初に始められたのは「みんなの動物園図鑑」というホームページでした。その後、「動物ニュース掲示版」を経て、2007年から「ZOONEWS BLOG」を運営されています。
情報収集について、以前はひとつ一つのサイトを見て選んでいたのですが、現在は動物園・水族館のホームページをはじめ、Yahoo! 等で動物の話題を自動的にピックアップできるようにしているそうです。月始めはどこの園館もニュースが多いようですが、更新されているかどうかは園館によってバラツキがあるそうです。そういった現状でも毎日ニュースを紹介されている三好さん。私も、普段、「ZOONEWS BLOG」を拝見していますが、あらためてお話を聞かせてもらった事で、凄いのは勿論、有り難いなと思いました。動物園・水族館の職員の中にも見ている方もいらして、他園館の情報を調べるのに活用されているそうです。また、「ZOONEWS BLOG」の他に、三好さんオススメの園館のサイトや、他の方が運営している園館のニュースを紹介するサイトも紹介していただきました(和歌山県立自然博物館のバリケンについての情報サイト「バリコレ BARIKEN-Collection」や、ある動物園の元・園長さんが運営されている「動物園ではたらく」という動物園の様々なところにスポットを当てて紹介するホームページなど)。最後に、ご自身の経験を交えながら昨今のインターネット事情についてお話しいただきました。ホームページの流行から始まったネット社会の発展、その後、ブログからFacebookやTwitterなどのSNSへの変遷が見られる現代。便利になって良い反面、良くないところもある。このことを三好さんは、「ソーシャル化の功罪」とおっしゃっていました。日本を含めて世界中の園館が、現代のネット社会の中で、これからどのように発展していくのか興味は尽きません。

 

2. 横山卓志さん〜動物園水族館紀行 in ヨーロッパ〜
二人目の発表者は静岡市日本平動物園の横山卓志さん。学生時代に、30日間でヨーロッパ9ヶ国、22の動物園・水族館を巡った一人旅のもようをお話ししていただきました。6年の再整備事業を終え、去る4月2日にグランドオープンした日本平動物園のPRから始まり、ほのぼのとした雰囲気の中、発表されました。
横山さんが日本を出発したのは2011年3月10日、何と東日本大震災の前日。現地で歩いていると道行く人々から「ツナミ!」等と言われて何の事だろうと思い、数日後にようやく日本の状況を知って驚かれたそうです。
そんな時でしたが、予定どおり22の動物園・水族館に行かれ、日本の園館との違い等を研究されたそうです。横山さんは、日頃から、先入観を持たずに「一般のお客さんの目線で楽しむ」ことを大切にしていらっしゃるそうで、自分も見習わなければと感じました。
ヨーロッパは気候の関係上、屋内施設が充実している園館が多く、熱帯の動物は熱帯の環境でなど生息地の雰囲気を味わいながら動物を見ることができます。日本の園館と違うところは、お客さん側(観覧スペース)には植物が植えられている一方、動物の展示場にはあまり植物が植えられていないところで、このような園館がいくつかあったそうです。屋内施設の中でコウモリが放し飼いにされているところも! 一応、コウモリの展示場はあるのですが、お客さんとの間には柵やガラス等が一切ない状態で、コウモリは施設内を自由に行き来できるようになっています。そのため、本来の展示場とは全く違う場所でコウモリが見つかることもしばしばあるそうです。また日本だと施設(展示場や動物舎)の工事中、工事現場は白い壁などで覆われていますが、ヨーロッパのある動物園では、壁にその施設で展示予定の動物達が描かれていたり、お客さんが工事現場を見る事ができる覗き穴があるそうです。
訪問を終えての横山さんの感想は、日本の動物園・水族館での「出来たらいいな」と思っている取り組みが欧州の園館では「当たり前」に実現されている。日本と欧州の一番の違いはこの事かもしれないということだったそうです。
ここ数年の間に、横山さんの言われた「出来たらいいな」が日本の動物園・水族館でも少しずつ実現されてきています。欧州の動物園・水族館のよい取り組みをうまく取り入れ、日本の動物園・水族館がどんどん発展していくといいなと思いました。

 

3. さかいともこさん〜見えてくるもの、見つめてみよう〜
三人目の発表者は動物園ライターのさかいともこさん。毎月おこなっている「楽しいZOOツアー」を通して見えてきたこと、これからおこなっていきたい活動についてお話しいただきました。さかいさんが動物園にハマったのは意外にも最近だそうで、キッカケは上野動物園のアメリカバクだったそうです。その後、かの有名な動物園ライター・森由民さんの存在を知り、森さんに連絡をしたそうです。そして、森さんと師弟関係を結び、2代目・動物園ライターと名乗り、現在に至ります。
さかいさんが森さんとともに毎月おこなっている「楽しいZOOツアー」は主にFecebookで参加者を募集しています。動物園ライターのお二人に案内していただきながら動物園を周るという贅沢なツアー。これまではひとりで参加される方が多かったが、今後、ペア(カップル、お友達、親子など)で楽しく動物園をまわるという新しい形のツアーも企画していくそうです。
その他、「動物×デザイン×研究会(仮)」という、動物園で見つけた面白い取り組みを、お茶をしながら意見交換(談議)するという会も開催しているそうです。気軽に動物園について語り合えるこの会、私も参加したいなと思いました。
また今後は「動物園ライター」としてではなく別の方向で活動していくことも考えられているようで、セミナー参加者に新しい肩書を募っていらっしゃいました。「さかいバク」とおっしゃっている方もいました(笑)。私も何個か考えておりますが、それは今度ご本人に話そうと思っています。
他、バク好き(特にアメリカバクがお好き)のさかいさんならではの話題も提供していただきました。私は知りませんでしたが、4月27日はWorld Tapir day(世界バクの日)で、バク好きの人にはたまらない日だそうです。
皆さんも、さかいさんの楽しいイベントにご参加してみてはいかがでしょうか。

 

発表終了後、恒例のクイズ大会も開催されました。今回のクイズも例年どおりマニアックなもので、例えば4園の案内図の一部分だけを見て「この中で埼玉県内にある動物園はどれでしょう?」や、実際にその動物園で設置されている立て看板などを見て「この動物園は次の4園のうちどれでしょう?」等、ヒントが欲しい問題も多々ありました(笑)。とはいえ皆さんとても楽しんでいる様子で、高得点を出された方々は、ピースちゃん(とべ動物園のホッキョクグマ)のグッズやオリンピック関係のグッズなど、素敵なプレゼントをゲットされていました。

 

今年も楽しく、そして大変勉強になったサポーター発表会でした。私も次回に向け、動物園についてこれまで以上に勉強していこうと思いました。

(市民ZOOネットワークサポーター 高校2年生 斎藤 健太)

 

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