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動物たちの豊かな暮らし

エンリッチメント大賞 2020 一次審査を通過した取り組みについて

今回受賞した5件のほか、以下の6件が一次審査を通過しました。
のぼりべつクマ牧場:「少しでも」を意識したクマたちへのエンリッチメント
   スタッフが正しい動物福祉の理解と熱意を持って、あらゆる種類のエンリッチメントを実践しています。こうした取り組みは、地元の大学との協力をはじめ、国際学会への参加や外部機関との連携等を通じた情報収集などの活動基盤によるものだと思われます。しかし、飼育施設としては極めて困難な物理的環境の制約があるため、さまざまな努力がなされるものの、本来適正と考えられる飼育環境の実現には至っていません。けれども、なんとかクマたちの福祉を改善しようという努力は尊く、取り組み前の状態からは福祉が大きく改善されている点は高く評価されました。今後も改善の努力を続けられることを切望します。
 日本の「クマ牧場」は、単独行動を基本とするクマを高いコンクリート壁に囲まれた空間で集団飼育することから、さまざまな問題が指摘されています。悪い意味で世界から注目を集めることが多く、今後どのような意義や正当性をもって存続していくかが問われるところですが、今回の応募内容はその状況に明るい可能性を感じさせるものでした。今後も情報収集と情報発信を継続しながら、業界全体を牽引する役割を担っていくことも期待します。
神奈川県水産技術センター 内水面試験場:ホトケドジョウの流水トレーニング
   遊泳能力と遡上意欲の向上をめざし、水流トレーニング装置を開発しました。魚類における動物福祉は評価が難しいですが、この取り組みはエンリッチメントの要素を強く感じ、保全施設として「野生復帰」を視野に入れている点でも評価できます。今後は、採食や危機回避などの能力も含めた総合的なトレーニングと、野生復帰への実際の寄与についての評価・検証を期待します。
一般社団法人 恩返しIILA:ここにも「飼育動物」がいる! 〜教育現場にも動物園レベルの飼育を〜
   元動物園職員が運営する団体が、認定こども園で飼育されるヤギの環境改善を試みた取り組みです。学校等の動物飼育では、正しい知識や人員の不足などの理由で、動物の福祉が疎かになりがちです。動物園や水族館というエンリッチメント大賞の枠組みからは外れますが、今後も、教育現場における具体的な飼育環境の改善に加え、飼育動物に対するエンリッチメントの概念を広めていくことに期待します。
公益財団法人 日本モンキーセンター:非展示個体の情報開示と施設改善の取り組み
   来園者から見えない場所で飼育する個体にも配慮し、福祉向上や情報開示に取り組む姿勢はすばらしく、他施設でも同様の取り組みが増えることを望みます。今回はまだ動物福祉の向上について結果が出ておらず、その評価ができませんでしたが、クラウドファンディング活用後に明らかになる変化について期待します。
しろとり動物園:サルの運動不足を解消し、来園者を笑顔にする給餌装置「kuru・kuru」
   外部団体との連携による新たなアイディアで、ユニークな給餌装置を設置した取り組みです。ニホンザルの行動に一部改善が見られたようですが、同時にマイナスの効果も確認されています。来園者の娯楽的要素とのバランスに配慮し、科学的検証を伴うなどエンリッチメントの本義に立った努力を続けることで、より良い取り組みになるでしょう。
わんぱーくこうちアニマルランド:猛獣たちを津波から守りたい!だけじゃない 津波避難棚プロジェクト
   動物の行動や生態に配慮した棚を設置することで、津波時の避難場所を確保するだけでなく、立体的な移動や、利用空間の拡大に成功しました。動物に制限を与えがちな脱走対策や防災対策をエンリッチメントにつなげたのは、普段から動物たちの暮らしをよく観察しているからこそ生まれたアイディアであり、今後のさらなる効果検証とその波及に期待します。
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