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世界一のドリームナイト?!

*6/4に若干加筆修正しました
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今日は、私がズーラシアで企画したアートな挑戦的話をはじめようと思っていたのですが、、、
ここ最近の超多忙生活のため、今回はちょっと予定を変更して、近況報告をひとつ。(これからも時々、おもしろい話があるときは脱線するかも?)

実は昨日、ズーラシアでは、dreamnight at the Zooという国際的なイベントが開催されました。6月2日の夜、世界26ヶ国の100近い動物園で、障害のある子どもたちとその家族に気兼ねなくたのしいひとときを過ごしてもらえるよう動物園に招待されていたのです。しかもズーラシアは時差の関係で、世界で一番早くdreamnightが始まったらしい!

dreamnight at the Zooは、オランダのロッテルダム動物園が1996年に始めた、障害のある子どもたちとその家族を閉園後の動物園に招待し、気兼ねなくすてきな夕べを過ごしてもらおうと言うイベントです。ヨーロッパでは、夏至の時期には夜9時くらいまで明るいことも手伝ってか、多くの動物園がdreamnight at the Zooに賛同しています。アジア地域では、台北動物園とズーラシアの2園がエントリーしているだけなので、まだまだ認知度は低く、初めて聞かれた方も多いと思います。

とは言え、オランダのdreamnight事務局の方々は、様々な国際会議で精力的にこの意義を紹介しています。実は私も、3年前にオランダで開催されたinternational congress of zoo keepers(世界動物園飼育担当者会議)でこの企画を初めて知り、事務局のHankに「ぜひ日本でも実現したいと思います!」と宣言し、たくさんの方々の協力のもと、昨年からやっと実施にこぎつけたのでした。

こんなに毎日、子どもたちで溢れている動物園も、重度の障害のある子どもたちとその家族にとっては、逆に行きにくい場所となってしまっている場合もあります。ズーラシアのように動物が遠く、認識しにくい動物園ではなおさらです。しかし、動物園というのは、動物に出会うばかりでなく、動物との出会いを通して、多様な人が関われる場所だと思うのです。毎年100万人近い来園者のあるズーラシアは、社会を映す鏡でもあるのだと思いますし、十分に社会を変えていく力を持っているはずなのです。

この、dreamnightへの参加にあたっては、大きく二つの思いがあります。一つは、誰もが利用できる、市民の財産としての動物園の意義を果たしたいと言うローカルな視点、もう一つは、国際的に展開している動物園の利用者に対する企画としては唯一とも言えるこのdreamnightを、ともに盛り上げていきたいと言うグローバルな視点です。

そもそも、障害のある子どもたちとその家族だけを招待するという点で、すでに障害のある方を区別してしまっているという側面がこの企画にはあります。しかし、私が日々動物園で感じる社会というのは、やはりまだまだ十分お互いを思いやれると言い切れるものではないと感じています。通常の入園で、障害のある方とそうでない方が、動物園側の配慮なしにはお互いが気兼ねなく、たのしい時間を過ごすということが難しいのではないかと、残念ですが思います。

ズーラシアではこれまで、地域の養護学校や療育センターと協力をして、障害児の遠足を企画してきました。この中で、元気いっぱいなお母さん、そして、楽しそうにしているお母さんから元気をもらっている子どもたちに出会ってきました。子どもたちが楽しそうにすると、お母さんはますますパワ−アップ!いつも動物園側のスタッフの方がたくさんの元気をもらっていました。もっとたくさんのすてきな笑顔に出会いたい!そして、この笑顔こそがよりよい動物園となる源となるのだと思います。

今回のdreamnightでは1000人以上の方々を招待し、そのうちの7割くらいの方々が実際に来園されました。参加された方々にたのしい時間を過ごしていただけていればと願うばかり。ズーラシアのバリアフリーはまだはじまったばかり。でも、誠意を持って取り組み、まず私たち自身が成長し、関わるみなさまとよりよい社会をつくっていけるよう、がんばりたいと思います。

気がつけば、dreamnightの実施企画について一言も触れないうちにこんなに長文になってしまった・・・。詳しい報告は、次回ということで。

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コメント

ドリームナイトに参加させていただけて良かったです。
一回目はたしか秋、日が落ちてしまえば肌寒い頃で、
そういうみなさんをご招待するならポカポカ陽ざしのある時間帯に
すれば良いのに、と思いましたが、意味があることだったのですね。
ご招待するといっても、アップダウンの多い動物園では難しいかと
思われますので、自然林に囲まれていながら比較的平坦な造りの
ズーラシアはまさに適格だと思います。
長倉さんがズーラシアにいてくれてはじめて実現できた企画ですね。

確かに、言出しっぺは私だったんですけど、共感してくれた同僚がバリアフリープロジェクトを立ち上げ、組織全体で取り組みました。ズーラシアサポーターズのみなさんも、突然の持ちかけにも関わらず、企画を考え、参加してくれてうれしかったです!ズーラシアにいつも誇りを持ってもらえるようにがんばります。というか、一緒にがんばっていきましょうね。

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