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一年で一番ズーラシアが思いやりであふれる日

今回は、前回の投稿で予告した、dreamnight at the zooについて、詳しい報告をしたいと思います。dreamnightにあたっては、3ヶ月かけて準備し、ズーラシアスタッフはもちろん、ズーラシアサポーターズをはじめとする数多くのボランティアさんとともに実施したのです。実はこのdreamnightに関して、ズーラシアからボランティアを公募してはいなかったにも関わらず、近隣の高校生、企業の方々、アートNPOより30名もの方々がdreamnightに参加したいと言ってくださり、なんと、総勢150名でdreamnightに取り組むことになったのです。

全体を取りまとめていた私にとって、参加される方々はもちろん、実施する側のスタッフにとっても、心動かされるすばらしい企画にしなくては!という、本当に大きな挑戦でした。

6月2日金曜日の閉園したズーラシアに続々と車が集まってきます。ボランティアさんもすでに会議室に集合し、横浜市リハビリテーション事業団のスタッフの方による、障害のある子どもたちとのコミュニケーションについてのレクチャーを受けてから、園内の各イベントブースでズーラシアスタッフと対面後、現場実習。午後5時には受付が始まり、招待されたご家族のみなさんが園内へと案内されます。わくわくした空気の中、お父さんが子どもたちをからかったり、お母さんが家族をせかしたり。子どもたちが大きなバギーに乗っていたりするだけで、普段と変わりない光景が繰り広げられていきます。

入園してすぐの原っぱで、まずはフェイスペインティング。動物型シールを頬に貼り、アレルギーフリーの絵の具を塗ります。ウサギやカンガルー模様の笑顔の子どもたちは、着ぐるみのオカピやゴールデンターキンと遊びながら、今度はころこロッジ方面へと向かいます。ここでは、dreamnightに賛同してくださった企業から提供されたジュースやポップコーンが参加者の方へと手渡されます。屋内休憩施設であるころこロッジの中では、アートNPOによるおんがくパーティーワークショップを開催。子どもたちは、リンゴのパックを踏んだり、キウイのパックやエサのバケツを竹のバチで叩いたり、動物園のゴミを使った演奏会で大はしゃぎ!ころこロッジの外側では、ポニーのシンスケくんユウスケくんがお出迎えしてくれ、ほとんどすべてのご家族がここで記念撮影をしていきます。

園内はおよそ1/3のエリアが解放され、アマゾンとアフリカの動物たちに会うことができます。すべての展示場で飼育係がスペシャルガイドを実施。もちろん、オカピもゆっくりじっくり見ることができるのです。動物展示の合間には、たくさんのハンズオンが次から次へと現れます。動物鳴き声クイズに挑戦したら、その隣でオオアリクイの赤ちゃんパペットを背負ってオオアリクイのお母さん体験。オオアリクイの等身大模型を用いたガイドでは、60cmもある舌を引っ張って驚いたり。ズーラシアサポーターズによる動物スタンプコレクションで全スタンプ制覇したら、ヤマアラシの針を触って、うんちワールドでにおいを嗅いで、ゾウのエサの量と自分の体重を比べて・・・

これらのイベントは、五感を駆使して体験できるものを考慮し、準備しました。もちろん、障害のある子どもたちもできるだけイベントに参加できるように思いもありますが、それと同じくらい、一緒に来園している家族のみなさんにも心から楽しんでもらいたいと思い、企画をしています。実際、自閉症の子どもにとっては、興味の対象が合わず、私たちが用意したイベント自体を楽しんでもらえない可能性も大きいのです。それでも、いっしょにいる家族が楽しそうにしていると、その気持ちは伝わります。また、家族の方々にとっても、このような気兼ねのない環境で楽しめる場所というのは、まだまだ少ないようなのです。

子どもたちが大きな声で叫ぼうが、突然走り出そうが、誰も冷たい視線を向けません。家族の方々が安心感に包まれ、お母さんもいつもよりゆっくりと動物園を楽しんでいるようです。この日は一年間で一番、ズーラシアが思いやりであふれる日となります。参加者の方々同士でお互いを気遣い、道を譲ったり、困っている家族に手を差し伸べたり、というのが日常なのです。私たちスタッフも、家族のみんなで動物園を楽しめるよう配慮して、元気よくコミュニケーションをとっていきます。

夜7時近くにはすっかり夜の雰囲気となり、園内各所の照明が点灯され、看板も光りはじめます。特別感がアップすると同時に、実は、日光に当たることのできない障害のある子どもたちにとっては、初めての動物園になるのです。そして、8時にはdreamnightもおしまい。参加者のみなさんを見送った後、ズーラシアにはなんだか、あたたかな空気が残るのでした。

dreamnightから一週間。この間に、参加されたみなさまからのアンケートが続々とズーラシアに届いています。そのすべてに、スタッフのあたたかい対応への感謝が綴られています。でも、実は、あたたかい気持ちにさせてくれているのは、参加者のみなさまなのです。もちろん、反省すべき点も数多くあります。それでも、「こんなにやりがいのある企画はないのです!」と熱弁していたオランダのHankに共感し、そして、私もHankのように、dreamnightのすばらしさを、日本で呼びかけたいと思います。

スタッフ、ボランティア、参加者のすべてのアンケートを集計して、報告書にします。ご希望の方はどうぞご連絡下さい。

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コメント

ドリームナイトに参加させていただけて良かったです。
一回目はたしか秋、日が落ちてしまえば肌寒い頃で、
そういうみなさんをご招待するならポカポカ陽ざしのある時間帯に
すれば良いのに、と思いましたが、意味があることだったのですね。
ご招待するといっても、アップダウンの多い動物園では難しいかと
思われますので、自然林に囲まれていながら比較的平坦な造りの
ズーラシアはまさに適格だと思います。
長倉さんがズーラシアにいてくれてはじめて実現できた企画ですね。

確かに、言出しっぺは私だったんですけど、共感してくれた同僚がバリアフリープロジェクトを立ち上げ、組織全体で取り組みました。ズーラシアサポーターズのみなさんも、突然の持ちかけにも関わらず、企画を考え、参加してくれてうれしかったです!ズーラシアにいつも誇りを持ってもらえるようにがんばります。というか、一緒にがんばっていきましょうね。

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