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2006年11月28日

なまけものLIFE

東京工芸大学とコラボレーションを始めた翌年、私はアーティストの井上尚子さんと出会いました。折しも、横浜界隈では現代アートの国際展「横浜トリエンナーレ」の準備があちこちで市民の目にも見えるようになってきた頃。横浜在住(しかもすごい近所!)の井上さんとは、あっという間に意気投合、タイミングよく横浜トリエンナーレが市民に向けて募集をしていた応援企画に応募することを目標に、ズーラシアでのワークショップを企画しはじめました。夜な夜な近所のメキシコ料理屋で動物園の意義についての議論を重ね、私たちの行き着いた企画は、動物園でなまけることをコンセプトに掲げた「なまけものLIFE」。ズーラシアでは展示していない「ナマケモノ」がメインテーマの前代未聞の企画に挑戦することに決めたのでした。
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「なまけものLIFE」は、ズーラシア園内のあちこちにお客さんがなまけられる仕掛けを用意し、「楽しいスロー」を体験してもらうワークショップで、2005年3月に実施しました。この頃、スローライフという言葉がすでに世間に浸透し、国内の動物園でもスローが提唱されはじめていました。スローのヒントは、動物たちに隠されています。そして、それは私たちが動物たちから学ぶべきことなのです。

でも、動物たちの「スロー」をそのままワークショップの素材にしてもあまり意味がない。

井上さんと企画の骨子を決め、横浜トリエンナーレの応援企画として選考され、企画への助成が決定するやいなや、井上さんが講師を務める女子美術大学の学生有志5名で「女子美ガールズ」を結成し、ともにありったけの時間で「楽しいスロー」を考え続けました。そして、ワークショップまでの2週間、朝から終電までズーラシアの会議室で制作活動を続けました。まさに、渾身の企画なのです。

「楽しいスロー」は予想以上に難しい課題で、私たちは顔を合わせればスローの提案をし続けていました。ただ単に、動作を遅くするだけでは楽しくないのです。楽しくなければ、「スロー」の魅力が効果的に伝わっていかない!そんなこんなで夢に出るほど「楽しいスロー」を考えあぐねた結果、ワークショップはやり切れないほどのアイディアに満ちあふれたものとなりました。

果たして「なまけものLIFE」とは?次回エントリーでご紹介したいと思います。

2006年11月08日

ミンミンと子どもたちの今日

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気持ちのいい秋の空気の中、今年も東京工芸大学芸術学部メディアアート表現学科pZooと共同企画しているワークショップを実施しました。ことの発端は、2003年の、とあるワークショップ会場。生き生きと活動する学生さんに動物園でのワークショップ企画を持ちかけたのが始まりでした。その日のうちに先生とも意気投合、以来、毎年2回のペースでワークショップを共同企画しています。授業でもなく、各自の自主性に任された運営の中で、ゆるやかに動物園と大学生がつながり、お互いを刺激しあいながらの企画は、芸術のフィールドとズーラシアをつなぐ数々の実践の発端となりました。今回は、オカピとモウコノロバを題材とした二本のワークショップを実施。このうち、私が担当した「今日のミンミン」をご紹介します。

<今日のミンミン>
「今日のミンミン」はズーラシアのモウコノロバ「ミンミン」のプロモーションビデオを制作するワークショップです。今回のワークショップ企画には映像を得意とする学生が多く集まったので、子どもたちに撮影してもらった映像を素材としたプロモーションビデオを制作する企画が生まれたのでした。企画期間はおよそ3ヶ月。ズーラシアと東京工芸大学は、およそ20km離れているのでそうそう会うこともできません。私たちはxoopsというインターネット上の多機能掲示板を駆使し、でも時々直接話し合いながら企画を深めていきます。

<ワークショップのねらい>
行楽シーズンのお客さまの大半は家族連れ。その中でも、未就学児や小学校低学年の子どもたちが多いのです。この子どもたちが参加しやすく、分かりやすいワークショップが企画のキーポイント。私たちは、「ミンミンが日本に一頭しかいないモウコノロバである」ということを伝えることを今回のメッセージとしました。また、「一頭しかいない稀少なミンミンも、個性があって、名前があって、ミンミンとしての暮らしをしている」ことを感じ、身近な存在となれるように考えたのです。

<こだまする「ミンミン」コール>
まずは、モウコノロバの展示場の前で参加を呼びかけます。20名ほど集まったところでクイズ大会。このクイズは「ミンミンがオスかメスか」という簡単なクイズで始まる、小さな子どもたちでも参加でき、達成感を感じられる内容です。そして、クイズの中で、ミンミンが日本で一頭しかいないモウコノロバであることを子どもたちは知るのです。そして、まだビデオカメラを手にしたことのないであろう子どもたちに、大学の機材のビデオカメラを4台用意し、ミンミンに話しかけながらの撮影が始まります。持ち時間は30秒。この短い持ち時間の間に、ミンミンをかっこよく撮ろうと子どもたちを盛り上げます。ミンミンの動きをじっと見つめる子どもたち。そして、子どもたちのタイミングで撮影開始。こうしてこの日は4時間で68人の子どもたちに参加してもらいました。

<やみつきワークショップ>
その後の3週間で映像編集。11月1日からはそのプロモーションビデオを園内で放映しています。10月の終わりにpZooの学生さんが「やっと編集できました。いいできなんです!」と興奮気味に持ってきてくれた映像を見て、今回もワークショップができて本当によかった!と思えました。この企画は、まさに私たちのコラボレーションでしか生まれ得なかった成果があります。そして、企画過程で関わった学生自身、ミンミンが気になってしょうがなくなり、そしてそんなズーラシアを応援してくれるようになるのです。毎回、大変な思いをして企画をしているのに、やめられないやみつき企画の一つです。

と、ここまで書いて、映像をアップロードしようと思ったらなぜかうまくいきません・・・。近日中になんとかします。
ちなみにズーラシアでは、12月28日まで放映しています。


--- 追記(11/11) ---
画質音声ともにかなり落ちちゃいましたが、なんとかアップロードできました!
ミンミンPV前編
ミンミンPV後編

*再生には、QuickTimePlayerが必要です。
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