京都市動物園京都府
動物園全体の動物福祉向上のための体制整備

飼育現場におけるエンリッチメントの取り組みを促進する指針を作成し、動物福祉の水準を園全体で保証するための体制を整備しました。おそらく、日本の動物園・水族館としてはもっとも先駆的な事例の一つだといえるでしょう。
京都市動物園では2020年に園独自の「動物福祉に関する指針」を作成しました。それに基づき、2020年度はゾウ・キリン・ふれあい動物を、2021年度はサル島・フラミンゴ・ナマケモノを対象に、チーム単位での動物福祉向上に重点的に取り組んでいます。また、動物福祉のリスク評価をするチェックシートを作成し、対象種以外の動物でも飼育担当者レベルで問題認識や試行・評価ができるような工夫もしています。これにより、飼育現場の日常の自然な業務としてエンリッチメントを組み込み、自律的かつ継続的に取り組んでいけるような体制を構築しています。さらに園内各課の代表者からなる「動物福祉委員会」を組織し、園全体の方針のうち動物福祉がかかわる事柄についての議論や全体の総括などの役割を担っています。動物福祉改善の取り組みのいくつかは査読付きの研究論文となっており、自己評価にとどまっていないということも重要です。大学や他の動物園等との連携もうまく機能し、そこでの成果が京都市動物園という枠を超えて動物福祉向上に貢献していることも評価されました。こういった体制づくりの成果として、実際に、特に重点的に取り組んだ対象種(ゾウなど)において科学的・客観的な評価による環境改善のプロセスが実施されていることが確認されました。
まとめると、組織全体としての動物福祉に対するイニシアティブが明確であり、それに実効性があること、さらに個々の動物福祉の向上がデータとして得られ、そのデータを発表する仕組みも整っていることが授賞に至った理由です。組織として動物福祉を評価する仕組みの確立は世界的な流れであり、こういった事例が今後の日本の動物園・水族館の規範となっていくでしょう。「動物福祉に関する指針」や研究業績、各種資料はすでに公開されており、市民への情報提供とともに、国内の他の動物園・水族館に対する効果・影響の普遍性も期待されます。
